先日、鹿児島で久しぶりに開催した螢籠づくり教室。
10年ぐらいやっていませんでしたが、13周年を記念して宮崎でも特別開催いたします。
宵の刻、18時から。場所は普段案内していないここくの倉庫。周りに人が一切住んでいない、山の中での開催です。
夕暮れと共にカゴを編み、できあがった夕闇には蛍が待っていることでしょう。
古来の人々は、この季節に収穫を迎える麦の穂で虫かごを編み、カゴに入れて蚊帳に吊るし、眺めながら寝たと聞いています。
いろんな不安が押し寄せるこういう時だからこそ、
本来私たちに必要なものは何なのか、季節の手仕事の中で考えたいものです。この特別な機会に、ぜひみなさんのご参加をお待ちしております。
<宵の螢籠づくり>
5月30日(土)18時から
もちもの:ハサミ
場所はDMでGoogleMapでお知らせいたします。
お申し込みはDMで、お名前とご連絡先をお知らせください。
※ゆるい会ですので時間厳守でもありません。少し遅れてのご参加も大歓迎
#螢籠
製作秘話その1:たまり餡
13周年キャンペーン中、ここく商品のこれまで語られなかった製作秘話お届けいたします。
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「発酵あんこ」というのを聞いたことがあるでしょうか?
まったく初めて聞いた、という方は3割ぐらい。
聞いたことあるという方は6割ぐらい。
自分でも作ったことある!という方は1割ぐらい。
youtubeなど見ながら自分で作ったことある方、そのうち9割は「思ったほど甘くならなかった」といわれます。大抵は炊飯器でされてる方ばかり。
ここくが菓子製造業を取得して、最初に取り組んだのがこの発酵あんこでした。味噌や醤油と「醗酵」でつながるスイーツだからです。
最初は私たちもみなさんと同じように、動画を見ながらやってみました。炊いたあずきと米麹を混ぜ合わせて醗酵させる。
できあがったのは酸味とほのかな甘味が入り混じった、なんとも言えない味。時間をかけて作っただけに、「おいしい」と自分に言い聞かせるような、ほのかな甘味。体に良さそうで、これはこれでいいのかもしれない。
みなさん口を揃えて「甘さ控えめがいい」とおっしゃるから、これはこれでいいのかと思いきや、いろんな方に食べてもらうと、返ってきたのは「酸味が…」「甘いものを食べた気がしない」という厳しい声。
そこから1年かかりました。本当に満足できる甘味になるまでどうしたらいいのか、酸味を無くすにはどうしたらいいのか。
その過程で、あずきではなく、大豆を炊いて餡にして、きな粉をまぶした「きなこ餡」も誕生しました。ここでも、大豆の油分が邪魔したり、えぐみを無くすのに研究を重ねました。それを乗り越えたおかげで、この大豆餡にカカオパウダーを混ぜればちょこ餡になり、胡麻を混ぜればごま餡になることが判明。大豆はもちろん、私たちが栽培した自然栽培の在来種です。
これで完成かと思われましたが、次に待っていた試練は常温で売ること。
ジャムなどは砂糖をたくさん入れることで、甘味と水分がくっつき、菌が利用できない水分になります。菌が繁殖できる「自由水」がある割合を示すのが「水分活性値」。これが一定の値を下回らないと常温では販売できない。それを砂糖を入れずに実現するのは並大抵のことではありません。
鍵になるのは「餡ねり」と言われる、水分を飛ばしていく作業。
最初はスタッフが軍手をして、時折火傷をしながら、1時間近く餡子を焦げないように顔を真っ赤にして混ぜ続けていましたが、さすがにこれは苦行すぎる…
ということで、「あん練り機」という機械を導入。これにより安定して水分が飛ばせることで水分活性値も低くなり、常温で瓶で売れるようになりました。念のため毎回検査できるよう、測定器も購入しました。
さらに瓶だけでなく、この餡子を最中で食べてほしいと思いました。
偶然見つけた、キューブ状のかわいい三色最中。あずき、きなこに加えて、瓶にはない「ちょこあん」も加えて販売しましたが、最中はすぐにふやけてしまう。賞味期限が短すぎて最初はなかなか売れませんでした。自分で餡を包む最中セットも考えましたが、それではこのキューブのかわいい形が活きない。
そこで登場したのが寒天です。これを加えることで水分が最中皮に染み込まなくなり、常温で3ヶ月放置しても大丈夫なことも実証。今は安全性を考え、賞味期限1ヶ月で販売しています。
しかも、寒天を入れたらより餡子らしくなったのもありました。
こうして2年ぐらいの歳月をかけて完成した、叩き上げの醗酵あんこです。いろんなお声やノウハウがたまりにたまってます。
今ではこの最中だけでなく、発酵スイーツ研究所の店頭メニューであるたいやきや桜餅、あんみつ、どら焼き、パフェなどにも使われています。
甘酒風味の、優しい甘味ながらしっかりと満足感のある甘さに仕上がっています。
あずき餡はクリームチーズと合わせると最高。きなこ餡はピーナツバターのイメージで、ナッツやくるみと相性が良い。きなこ餡の方が、あずき餡より少し甘く仕上がっています。
ぜひこの機会にこの叩き上げ餡子をお試しくださいませ。
常に変化してきた13年間。
13年前の今頃は、まだ初めての麦の収穫前。
麦の収穫もできてないからお客さんはゼロです。
当然こんな大きな機械もなく、夜通し朝までひとり、麦を手刈りしたのを覚えています。
何のためにやるのか。
就農前、ずっとデザイン畑を歩いてきた私は、人から評価されることで自分の存在価値を見出していました。カッコ悪い姿を見せるのは自分の価値を下げることにつながる、いわば死を意味するほど怖いこと。
常に第一線でいることは本当に辛かったし、逆にそこから逃げて仲間と「わかってないよね」とグダグダするのも違う。
だから初めた当初は失敗だらけでカッコ悪いから、本気じゃないフリをしていました。「趣味ですから」という逃げ道を常にどこかに確保して、したたかに孤独に、カッコいい形を目指していたと思います。
少しずつ少しずつ、食べて喜んでくれるお客さんの顔が見えるようになって、自分の存在価値が社会の中で「カッコいい」存在から、「おいしいものを届ける」存在に変わっていきました。
カッコ悪くてもいい。失敗してもいい。
私の価値は、おいしいものを育てて届けることにある。
おかしな呪いが解けたのは、おいしいと喜んでくださる多くのみなさんのおかげです。
個人的なご挨拶になってしまいましたが、ここくはどこまでも大きくなろうとは考えていません。この種をしっかりと次の世代に繋げる形ができるまで、あともう少し。
相変わらずのトラブル続きですが、一緒にこの形ができあがるのを楽しんでもらえたら幸いです。
例年通り、13周年となる今月は感謝セールを開催します。
ぜひこの機会にご利用ください。
こちらの袋、なくなりました。
現在店頭で販売しているものが最後になります。
※オンラインショップでは別のチャック袋で対応していきます。
これに変わる袋を確保しようと発注しましたが、2週間経っても送られてきません。ガスバリアの脱酸素剤が対応している袋でないと、長期間店頭に並べることができません。
オンラインショップで購入した方にはチャック袋で対応していきます。
穀物ですから、高温多湿の状況に置かれたらカビが生えたり虫が湧くのは当然のこと。この商品は販売しはじめて10年以上経ちますが、実はガスバリアの袋に変えたのは最近のことです。
ここ最近の異常な気温の関係で、店頭に並べていたものがカビることが多発したので袋を変えて対応してきましたが、もうそれもできないということは、店頭とネットショップで従来のチャック袋で販売するしかなさそうです。
大切に育てて、丁寧にバットに広げて選別して、袋に詰めて送ったものが、カビてしまうことで怒られる。品質が悪いと言われる。
農業を始めたころからずっと疑問に思っていたことです。
これはきっと序章に過ぎなくて、味噌のカップもクッキーの袋も、全て一年ともたない数しか手元にありません。
これからもっといろんなことが再定義されていくことでしょう。チャック袋が無くなる前に、新しい関係性を築いていく必要があると感じています。